プロの強盗パーカー(ジェイソン・ステイサム)は、“仕事”の為に集められた4人の仲間とステート・フェアを襲撃。150万ドルを強奪するが、金の分け前でもめはじめる。4人は次の仕事の資金にて一山当てようとパーカーを誘うが、自分のルールに反するとパーカーは断る。4人は彼に重傷を負わせ、金を奪って逃げた。一命を取りとめたパーカーは復讐の為4人を追う。しかし彼らのバックには有力なマフィアが控えており、パーカーに刺客を放ってきた。監督はテイラー・ハックウッド。原作はリチャード・スタークの「悪党パーカー」シリーズ。
 本作を見た人が一番最初に思うのは、「ジェイソン・ステイサム、髪の毛似合わねぇ・・・」ということではないでしょうか。もはや髪の毛のある姿に違和感しか感じない!いっそキモいわ!ステイサムはやっぱりハゲでないと・・・。彼がいかにいいハゲであるか証明された作品だと思う。
 それはさておき、本作、ステイサム主演映画としては「まあそうなるよな」というもので、さほど意外性はない。ただ、最近彼が演じていた主人公たちに比べると、本作のパーカーは多少生身の肉体っぽい。撃たれれば瀕死の重傷になるし、殴られれば倒れこむし刺されれば出血多量でこれまた瀕死になる。確かに腕っ節は強く「プロ」らしい技術と冷静さを持っているが、天才でも不死身でもないのだ。ステイサムが演じるヒーロー(悪党だが)としては、わりと地に足が着いている。自分が犯罪者、悪党であるという自覚があり、だがその中でのルールは弁えるというやり方も、地に足がついているヒーローと言えるかもしれない。
 パーカーは行きがかり上、不動産営業のレスリー(ジェニファー・ロペス)と協力しあうことになる。このレスリーが抱えるどん詰まり感が意外と等身大感があって、身につまされた。職業上(高級不動産仲介業なので)、収入は乏しくてもいい服を着ていい車(社用車じゃなくて自分の車でお客を案内するのね。リースってところが泣ける・・・)を使わなくてはならない、離婚してこうるさい母親と同居、将来の見通しも五里霧中。しかも自分には手の届かない商品をセレブに売りつけなければならないという。レスリーは言動や価値観がいい意味で普通で、彼女は本来、「悪党」と組むような人ではないんだろうなと思える。プロ犯罪者であるパーカーとのバランスが取れていたんじゃないかと思う。