闘鶏トレーナーのフランク(ウォーレン・オーツ)はライバルのジャック(ハリー・ディーン・スタントン)に惨敗し、全国チャンピオンになるまで喋らないと誓った。しかし再び試合に破れ、トレーラーハウスをはじめ財産を奪われてしまう。フランクは再挑戦を誓い、弟夫婦の家を勝手に売って資金を調達する。監督はモンテ・ヘルマン。原作、脚本はチャールズ・ウィルフォード。
 B級映画の帝王と呼ばれるロジャー・コーマン製作作品(1974年作品)。当時、『断絶』が興業的に大失敗しハリウッドから仕事を干されていたヘルマンに対する救済措置的な企画だったが、またまた興業は大失敗だったという訳アリな作品だそうだ。
 フランクは闘鶏の世界(というのがあるんですね・・・。少なくともアメリカ南部では)ではそれなりに名前が知られているらしいが、何しろニッチな世界。婚約者に闘鶏を一度見に来てくれと頼むが、特に女性にとってはハードル高そうだし、そこに理解を求めるのはなかなかハードル高いんじゃないだろうか・・・。フランク自身は闘鶏に賭ける人生に疑いを持っている様子はない。彼にとってはそれが全てなのだ。
 本作の脚本はヘルマンではないが、『断絶』にしろ最新作の『果てなき路』にしろ、部外者には分かりにくい(共感を得にくい)情熱を抱く人が作品の中心にいるように思った。敗北しても敗北しても再度立ち上がるフランクの姿は、当時、赤字作品ばかりリリースしていたヘルマンの姿とダブる。ヘルマンは本作の数十年後に『果てなき路』でまさかの監督業大復活を遂げるわけだが、フランクの勝負の行方は、本作を見て確認して頂きたい。
 主演のオーツはセリフはごく少ないものの、表情が大変キュート。動作の一つ一つが、指の上げ下ろしに至るまで決まっている。いい役者は身体コントロール力が高いんだなと改めて思った。アメリカ南部を舞台としているが(ロケ地も南部なのかは不明)所々はっとするような美しいシーンがある。ちょっとテレンス・マリック監督『天国の日々』を思い出した。
 ちなみに闘鶏自体は結構迫力がある。ただ、鶏はほぼ使い捨て状態なので、動物保護団体から大ブーイングが起きそう。