高校生のいづみ(池田愛)は、30万円が入った財布を拾う。財布に入っていた学生証によると持ち主は男子高校生の佐藤。持ち主の家に一度は行ってみたいづみだが、思い立って図書館で新聞記事を調べると、財布の持ち主の父親は天下り官僚だった。財布を返す気が失せたいづみは、金策に困っている知り合いの印刷屋に20万円を貸す。監督は小林啓一。
 冒頭に、おそらくは未来のいづみによる一文が挿入されるが、見終わってみてもあまり効果的ではなかったと思う。全編モノクロなのは思い出の中だからとか、そういう解釈にもっていくことはできるかもしれないが。とはいってもモノクロにする意味もあまりないと思うんだよな・・・。モノクロゆえの美しさもさほど感じなかった。素直にカラーでいいのになと。
 いづみの喋り方は下手なべらんめぇ調とでもいうか、『男はつらいよ』の寅さんの真似っこみたいな感じだ。役者の技量の問題もあるのかもしれないが、あまりこなれていなくて聞いているとこそばゆくなってくる。自分のキャラを過度に誇張しているみたいで落ち着かない。こういう、妙な自意識持っちゃっている時期ってあったよなぁ・・・という、なかなかにイタイタしい気分になる。更に、自分は利口で他人はバカというような、若干世間をバカにしたような(新聞記事に点数をつけるといった)態度、明後日の方向に正義感を燃やして簡単に対立構造を作るようなところも、ああ若いな、10代だなとわが身を振り返ってもかなりイタ懐かしい。
 いづみとその友人の蓮実(小篠恵奈)、薫(藤原令子)、財布の持ち主である佐藤(高山翼)が、佐藤が落とした30万円をきっかけに、思わぬプロジェクトを繰り広げていく。最初当事者であったいづみがどんどん部外者みたいになっていく。下心があるにせよ、友人達の方が、あまり物事考えてなさそうな一方でけっこうちゃんと物事を進めていたり、地に足着いていたりして、この人こんなところがあったんだ、とはっとする。観客のはっとする瞬間は、いづみにとってのはっとする瞬間でもあるだろう。
 女性高校生の会話の、ちょっと悪ノリっぽいノリや、女子3人グループのバランス感はよく再現しているなと思った。ストーリーの運び方はあんまり上手くないように思ったが、ダイアローグ作りの観察眼みたいなものがあるなと思った。もっとも、ちょっと台詞多すぎなんじゃないかという気もしたが。