続いては2012年読書ベスト読書編。今年は翻訳小説の新刊(普段は発行から数年遅れで読むことが多いので)を比較的(例年に比べると)読んだなという印象。逆に国内の小説はあまり読まなかった。また、ミステリ、特に国内のミステリをめっきり読まなくなってきている。では1位から。ジャンルはまぜこぜです。まず海外から10冊。

1:『犯罪』&『罪悪
 兄弟的な関係の2冊なのでセットで。なんで出版されてすぐに読まなかったんだ!と後悔したくらい面白い。人の悪意も理不尽さも突き放すクールな語り口。

2:『フリント船長がまだいい人だったころ
 少年時代の何かが失われる瞬間を痛切に描いた秀作。「それでもなお」という姿が痛ましくもある。

3:『黄金の少年、エメラルドの少女
 今年、最も心えぐられた小説。実に上手い。

4:『無声映画のシーン
 降り積もる雪のように静かにしみ込んでくる、連作短編集。

5:『ドライブ
 映画もよかったが原作もクール。省略のセンスがいい。

6:『パリ南西東北
 機動力の高い文章という印象。装丁もすっきりしていて素敵。

7:『からのゆりかご 大英帝国の迷子たち
 国ぐるみでこんなことをしていたなんて!と衝撃を受けるノンフィクション。著者のひたむきさ、誠実さに心打たれた。

8:『農耕詩
 大変なボリュームなのだが読んでいると不思議な酩酊感が。

9:『都市と都市
 フィクションは現実の映し鏡であると思わせるSF。著者にとっては不本意かもしれないが。

10:『クートラスの思い出
 クートラスという人の人柄以上に、人と人との関係の不思議さが印象に残った。

 続いて国内から、あまり読まなかったので3冊。

1:『母の遺産 新聞小説
 メタメロドラマでありつつリアルな「女の老後」を描き、更に新聞小説史に思いをはせる。

2:『屍者の帝国
 今年の小説というなら、本作を外せないだろう。意外に読みやすかった。

3:『アニメと生命と放浪と ~「アトム」「タッチ」「銀河鉄道の夜」に流れる表現の系譜~
 今年は杉井ギサブローイヤーということでいいんじゃないでしょうか。アニメに携わる人でなくても、仕事に向き合う際に心に染みる言葉あり。