11年に1度のお祭りの準備で湧きかえる正十字学園町。祓魔師の奥村雪男(福山潤)と祓魔師候補生の奥村燐(岡本信彦)と杜山しえみ(花澤香菜)は、任務につくが失敗、悪魔を取り逃がし町の一部を破壊してしまう。燐はその中で幼い悪魔と出合い、面倒を見ることになる。原作は加藤和恵の同名漫画。TVシリーズが好評だったため、劇場版公開となった。監督は『千と千尋の神隠し』で監督助手だった高橋敦史。
 原作の世界観、TVシリーズの世界観やキャラのキモとなる部分をきちんと押さえ、かつ風呂敷を広げすぎない、ほどよい劇場版。作品サイズをきっちり見極めて作った感じがする。下手にレギュラーキャラクター全員を立てようとせず、燐と劇場版新キャラのうさまろの関係に絞ったところもよかった。脚本は『けいおん!』の吉田玲子だが、手堅くまとめているなと思った。また、「けいおん!」もそうだったが、日常のちょっとした幸せの掴み方、見せ方が上手い。セリフを入れずに映像をかいつまんで見せる、食事やお風呂などのシーンがすごく楽しそう。何か幸福感があるんだよなー。シーフードにデミグラスソースというのがちぐはぐな気がするが、オムライスおいしそうだった(笑)。
 冒頭から驚いたのだが、作品の規模からするとちょっといきすぎなくらい、背景美術の密度が高い。正にみっしりしているといった感じ。美術監督は『スチームボーイ』や『鉄コン筋クリート』の美術を手掛けた木村真二。高低差のある地形や複雑な建造物、戦前の上海を思わせるようなアジア風のレトロかつ猥雑な街並みには、確かに『スチーム~』や『鉄コン~』のテイストが滲んでいる。木村節唸ってるな~とニヤニヤしてしまった。キャラクター作画自体はそんなにみっちしりていないので、作画に背景が殴り込みかけているような、爪痕残すぜ感満々なやる気を感じる。祭りの山車や廃墟など、お好きな方にはたまらないだろう。
 キャラクター造形は多分、ファンの期待を裏切らないもの。奥村兄弟はかわいいなぁ(笑)。燐のお兄ちゃんキャラが発揮されていて微笑ましい。また、劇場版オリジナルキャラクターのうさ麻呂(釘宮理恵)の動作のかわいさに、場内の女子たちが思わず声を漏らしていたのが印象に残った。釘宮の演技も鉄板。