ネレ・ノイハウス著、酒寄進一訳
ホロコーストの生き残りで、アメリカ大統領顧問も勤めたことがある、著名なユダヤ人男性が射殺された。現場には「16145」という数字が書き残されており、凶器は第二次大戦中に使われていた拳銃と思われる。司法解剖の結果、被害者はナチスの武装親衛隊だったと判明し、捜査陣には激震が走った。そして更に同一犯と思われる他殺死体が発見される。オリバー&ピアという刑事コンビを主人公としたシリーズ作品だそうだ。日本では本作が初翻訳されたが、ドイツでは大ヒットシリーズだそうだ。確かに本作、面白かった。展開がスピーディ(問題がとんとん解決するわけではないが運び方が上手い)で最後までひきつけられる。ナチス問題の根深さや、それに対するドイツの国としてのスタンス(ここまでやるのか!というような)が垣間見えるところも。こういう「過去が襲ってくる」系のミステリが最近増えているように思うが、気のせいか。ミステリとしての本筋以外にも、人物造形が巧みで読ませる。オリバーとピアという男女の刑事コンビが、天才的でも美男美女でもないが、ちゃんと仕事をしようとする普通の警察官で、地に足のついたキャラクターになっている。この2人以外も、「同僚」としての距離感のあり方がリアルだなと思った。