ルフィ(田中真弓)率いる麦わらか遺族団は、傷つき遭難していた男を助ける。右腕に巨大な武器を装着したその男は、元海軍大将“黒腕のゼット”(大塚芳忠)だった。ゼットは海軍に失望し、軍から巨大エネルギー元“ダイナ岩”を盗み出して、新世界の海から海賊を一掃しようとしていた。原作者の漫画家・尾田栄一郎が総合プロデューサーとして参加しており、監督はプリキュアシリーズの長峯達也、脚本は鈴木おさむ。
 監督が長峯だからというわけでもないと思うが、往年の「東映まんが祭り」のクオリティめっちゃ高い版のような、にぎやかさ、サービス精神の旺盛さで楽しいしそれなりに満足。ただ、「映画」という満足感ではなく、大画面でアニメ見たぞ!という満足感に近い。映画は前作『~STRONG WORLD』の方が座りがいい気がするが、作品の性質上、「大画面でアニメ見た」で全く問題ないと思う。むしろブレがない。
 ブレがあるとしたら脚本だろう。本作、ルフィ及び麦わら海賊団の物語という側面が薄いし、海賊の物語でもない。軍も海賊も憎む、ゼットの物語という要素が強いのだ。そしてゼットに関して、脚本レベルでこう見せたい、という姿と、実際に映画から受けるゼットの印象がどうもかみ合っていないように思った。ちょっと脚本がゼットに思いいれありすぎて、筋が通っているように見えない(むしろ矛盾していまった末の結末という印象を受けたが)のに筋を通した男、みたいな言われ方になっていて違和感あった。また、「ヒーロー」という要素も大分無理無理に入れてきたなぁという感じも。
 ともあれビジュアル面ではサービス精神が旺盛でファンには楽しいだろう。男子女子共にサービスショット満載。ワンピースでいわゆる「温泉回」やるとこうなるのか~と思うとおかしかった(笑)。ただ、サービスしすぎて若干うざったくもある。ナミの乳はそんなに揺れなくていいんだよ!あだち充的なテクニカルなサービスショットはいらないんだよ!
 なお本シリーズでは珍しく(だと思う)強弱や入り抜き感のある線が使われていて、肉感的な風合いがあった(ワンピースは線がフラットなイメージなので)。特にオープニングフィルムはかっこいい。