妻と幼い娘と暮らしているジョン(スコッド・アドキンス)はある晩、武装集団に襲われ妻子を惨殺される。自身は命を取り留めたもののこん睡状態となり、目覚めたのは事件の9ヵ月後だった。犯人グループのリーダーの顔だけは覚えていたジョンは、FBI捜査官にその男は元兵士のリュック・デュブロー(ジャン=クロード・ヴァンダム)だと教えられる。監督はジョン・ハイアムズ。
 シリーズ初期の2作とも、3作目のリジェネレーションともまた違った、直接的なストーリーの繋がりは感じられないシリーズ4作目。ユニバーサルソルジャーという設定を使ったスピンアウト、むしろ二次創作みたいな作りだと思った。監督のユニソル愛だけは何となくわかる。何より、リジェネにも感じられたユニソルという存在の悲哀が色濃く出ていて、好きな人はすごく好きになる作品だと思う。
 明らかに低予算なのだが、映画として意外とこなれている印象。色合いや光の使い方など、なかなか美しい。クライマックスのアクション連発ではそこでやるか?!という長回しまで披露している(1ショットに見えるように工夫してあって実際はカット入っているかもしれないが)。この演出に耐えられるアドキンスはかなりアクションの出来る俳優なのではないだろうか。
 血みどろアクション(殺戮という日本語サブタイトルはあながちフカシではない)であると同時に、ジョンの記憶の扱い方がもう1本の軸になっている。だんだん記憶障害者の地獄巡りのような様相となってくる。自分の存在の確かさ、自己の一貫性が揺らぎ続ける、ちょっとデヴィッド・リンチを思わせるような・・・というと言い過ぎかもしれないが、危うさを感じさせるいい雰囲気。
 ヴァン・ダムとラングレンは一応出演しているのだが、特別ゲスト的でストーリー本筋上は、実はあまり重要ではない。ヴァン・ダムはともかく、ラングレンの体のキレが明らかに衰えているのがちょっと辛かった。