ヨハン・テオリン著、三角和代訳
エーランド島の「ウナギ岬」にある古民家を買い、移住したヨアキム一家。しかし、ヨアキムの妻が溺死してしまう。その頃から、家の中や中に何者かの気配が感じられるようになった。ヨアキム一家を襲った悲劇を軸に、島を荒らす強盗一味、老人達への島の歴史の聞き取りを趣味にする新任警官の3者がおりなすミステリ。随所に、老人達が語る島の歴史や伝説が挿入される。死者にまつわる伝説がちょくちょく出てくることと、ヨアキムの死んだ妻への切実な思いとが相まって、幻想譚、ホラー小説のようでもある。実際、何が起こっているのかがなかなか見えてこないので、オカルト的な雰囲気が強まっていくのだ。しかし、終盤で一気に伏線を回収してきて、本格ミステリとしての全容が明らかになり爽快。大技ではなく小技の積み重ねでも鮮やかな演出が成立しており見事です。スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀長篇賞、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞、「ガラスの鍵」賞を受賞したそうだがそれも納得。あと、舞台が舞台だけに当たり前なのだが壮絶に寒そうだし雪国の厳しさが垣間見られる。この舞台設定だから映える物語だと思う。