法外な暴利で金貸しをし、返済できない人からは容赦なく取り立てる闇金業者の丑島(山田孝之)。イベントサークル代表の純(林遣都)はスポンサー捜しのため、IT企業社長のパーティに顔を出すが、スポンサー候補の男を返済請求に来た丑島に連れて行かれてしまう。パチンコにはまっている母親の借金を丑島に返済中の未來(大島優子)は、友人に誘われて出会いカフェでバイトを始める。やがて純の資金集めは難航し、丑島から金を借りる羽目に。原作は真鍋昌平の同名漫画。監督・脚本は山口雅俊。山口監督は『スマグラー お前の未来を運べ』の企画・脚本も手がけてたのか。映画としては、本作『ウシジマくん』の方が圧倒的に出来がいい。
 邦画洋画ともに大作・話題作の公開が相次ぐ中、ひっそりと公開されたが、これが意外なダークホース。TVドラマから映画化へ、というパターンだが、TV発の映画でもこれくらいしっかりやってくれれば見に行った甲斐があるなぁ・・・。画的には地味だしそんなに豪華という感じではないが、脚本がしっかりしている。あまり色気を出していない(余計な盛り上がりを試みていない)ところがいいのではないかと思う。
 純にしろ未來にしろ、地に足が着いていない、自分が何をしたくて何をしようとしているのかよくわかっていない感じで、見ていて落ち着かなかった。純の言う「人脈を広げてビッグになる」というのは具体的に何をどうしたいのか。そもそも携帯電話の番号だけの人脈を人脈といえるのか。実体がなくてふわふわしている。このふわふわ感とかイベントの雰囲気とかは、2012年現在というよりもう数年前のもののような気がするが(今の20代はもっと地に足着いてそうだし、そもそもそんなに遊ぶお金がない人が多いだろう)、漠然とした上昇志向が痛々しい。豊かさに対するイメージがすごく貧困なんじゃないかなと。多分、そこが今日的なのだと思う。
 山田孝之はいい俳優だなぁと実感した。決して大柄ではないのに大柄で只者ではなく見える。また、大島優子が意外といい。高卒でフラフラしていて、東大宮(駅のチョイスが的確すぎて泣ける)の実家暮らしで、地元ではかわいい子だけどVIPルームに入れてもらえるほどの美貌ではないという、良くも悪くも「普通」で流されやすい感じとか、胸と足に意外とボリュームがある感じとか、本当に出会いカフェとかでバイトしてそうな雰囲気あり。