聖クレア小学校の理科室に長年暮らしている人体模型キュンストレーキ(山寺宏一)と骨格標本ゴス(田口浩正)は、理科室の取り壊しを控え、自分達も捨てられるのではと心配していた。そんな折、、学校見学会にやってきた幼稚園児のマコ(戸松遥)、ミーコ(雨蘭咲木子)、ムツコ(寿美奈子)が理科室に忍び込み、キュンストレーキに落書きをして室内を荒らす。キュンストレーキは3人を利用して願を叶えるという伝説のメダイを集め、理科室の取り壊しを阻止しようと思いつくが。監督は竹清仁。
 ショートアニメーションのシリーズだった作品だが、この度長編アニメーション化された。短編では声優も使っておらず、ショートコント的なキャラクターの演技と字幕の組み合わせが楽しかったのだが、音声がついても(何しろベテラン勢が幅を利かせた芸達者な面子なので)悪くない。CGアニメーションで、キュンストレーキとゴスの動きは生身の役者の演技からトレースするモーションキャプチャー・アニメだが、これがかなりいい。短編の時も思ったのだが、キャラクターの顔がアップになってもちゃんと画面が耐える。動きの部分は元となる役者の演技が上手いのだろうが、アニメーションへの細部の落とし込み方が(顔の表情は全部アニメーターが作っているんだろうから)上手いのだと思う。他のキャラクターはいわゆる「アニメ」の演技で、全てをリアルにしようとしているわけではないところも、力の入り抜きのメリハリがついていていいのではないかと思う。
 多分労力的な問題もあるのだろうが、煙や水など、普通ならCGでリアルなエフェクトをかけるであろうところを、あえてマンガっぽい平面的な作画にしているところも、下手にリアルを目指すよりもこっちの方がきれいに見えるだろうという判断では。実際、ムリに細密にするよりも絵本ぽいキュートさが出ていてよかったんじゃないかと思う。手をかけるところとかけないところの判断の割り切りが見えて面白かった。
 ストーリーは正直大味子供向けで、ゲームで1ステージをクリアして次のステージへ、というようなぶつ切り感が否めない。ただ、局地的にSF的設定を投入し、しかもそこそこちゃんと伏線回収しているので、バランスが不思議なことになっている。