リュミエール兄弟が発明したシネマトグラフを最初に見た観客の一人であり、世界初の職業映画監督と言われるジョルジュ・メリエスの人生と作品、そして彼の代表作である『月世界旅行』彩色版の復元作業を追ったドキュメンタリー・監督はセルジュ・ブロンベルグ&エリック・ランジュ。
 メリエスの作品についても人生についてもあまり詳しくはなかったのだが、多分、すごくエネルギッシュで新しいもの好きな人だったんだろうなと思った。どの分野でも、技術が一気に花開いてその分野がぐわーっと伸びる時期があると思うのだが、メリエスは正に映画にとってのその時代を生き、彼自身が映画撮影技術を大きく進歩させた人だったのだろう。どんどんできることが増える、こんなやり方もできる!と気付いていく過程は本当に楽しかったろうと思う。今見ても、彼の作品は才気ばしっているというか、新しいことやりたくてうずうずしている感じがする。監督も脚本も主演もこなしていたそうだが、色々やりたすぎて人に任せられなかったんじゃないだろうか(自分でやった方が安上がりだという事情もあったのかもしれないが)。
 メリエスの人生をドラマ化したらしき作品の映像も使われているが、セットは大掛かりで出演者もそこそこ多く、現場の目まぐるしさが窺われる。当時はほぼ自然光のみでの撮影だったから、大急ぎだったしなかなか長編を撮るのは大変だったろう。
 後半は、近年発見されたメリエスの代表作『月世界旅行』彩色版の、復元作業を追う。彩色版があることも初めて知ったのだが、今の技術ならここまで復元できるのかと驚いた。かなりクリアに、鮮やかに見える。フィルムをデータ化して加工していくのだろうが、すごいなーと感心すると同時に、破損部分をどこまで復元して許されるのかという疑問も。元の状態がよくわからない(色とか不鮮明だし)部分は修復者がリサーチ&想像で補うんだろうが、残存している部分とのすり合わせはどのくらいまでやればいいのだろうかと。やりすぎてもだめなんだろうしなー。