ゾラン・ドヴェンカー著、小津薫訳
失業したクリスをはじめとする4人の若者は、依頼人に代わって謝罪する仕事を始めた。仕事が軌道に乗った頃、依頼人に指定された場所に行くと見知らぬ女性の死体が。依頼人は死体に謝罪し、それを録音して送り、死体を始末しろ、さもないと家族に危険が及ぶと脅してきた。依頼人は、そして死体は何者なのか?若者達4人それぞれのパートのほか、自動車を走らせる「わたし」、女性を殺した「おまえ」視点の章が挿入され、誰が何をしたのか最後まで謎をひっぱり飽きさせない。ドイツ推理作家協会賞を受賞したそうだが、それも納得だ。しかしあらすじ聞いてクライムサスペンスを想像していたのだが、想像よりも大分陰鬱で後味も苦い。まさかそんな陰惨な話になるとは・・・。「子供」に関わる部分が非常に重苦しい。確かに信じやすい、影響されやすいかもしれないがもうちょっと何とかならなかったのかと。その悔恨からくる「謝罪」とクリスらの「謝罪」は全く違う階層にあるものなので、それがまたいびつさを生んでいる。