エリス・パーカー・バトラー著、平山雄一訳
壁紙職人のファイロ・ガップは通信教育で探偵術を学び、念願の私立探偵として開業する。持ち込まれた事件の解決に挑むが彼の捜査はいつもとんちんかんなのだった。コメディミステリの連作短編集。コメディというか、ミステリのパロディとして軽く読めた。ガップ君の推理は後半になると意外とちゃんと筋道たってくるのだが、肝心なところで大幅に道を間違える。最終的には全部偶然の産物で解決されるのだった。出てくる人それぞれが独自の理屈をこねくりまわすがぱっと見それが間違っていないように見える(「埋められた骨」の浮浪者の独演には笑った)という、ある意味ミステリ小説の「謎解き」ってそんなもんかもしれないという意味でもミステリパロディだ。本格ミステリに対する皮肉ともとれる。ガップ君がバカ正直で騙されやすく、でも憎めない。一応、ちょっとづつ頭良くなっている感じではあるのだが・・・。