ピーター・キング著、森沢くみ子訳
辻馬車の御者ネッドは、馬車から降りた客が突如姿を消したことに気付く。後日、その男は他殺死体で発見され、ネッドの仕事仲間が容疑をかけられ逮捕された。ネッドは仲間を助けようと真犯人捜しに乗り出すが。ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした作品。ネッドは亡き父親から譲り受けた辻馬車で商売しており、ネッドら労働者階級の生活の様子や、当時の風俗が垣間見えて楽しい。実在の歴史上の人物が登場するというサービスも。また私が不勉強だったのだが、この頃ロンドンには既に地下鉄が走っていたというのには驚いた!本作中では拡大工事が進んでおり、一大ビジネスだった様子が垣間見られる。ネッドは好奇心が旺盛すぎて何にでも鼻を突っ込む。観察力に優れているが、すごく切れるというほどではない。すぐに敵の罠にかかってしまうので読んでいてイラつくところも。また、ネッドの父がやっていたことを強調する為に複数の陣営を出してくるのだが、その陣営同士の対立を処理しきれずごちゃごちゃになっている気がした。