NY、ルーズベルトホテルの21階、窓側の部屋にチェックインした男は、窓から自殺を図ろうとしていた。発見した通行人が通報し、警察が出動して現場は大騒ぎに。その男は警察側の交渉人として女性警官リディア(エリザベス・バンクス)を指名する。実はこの男・ニック(サム・ワーシントン)は元警官で、強盗の冤罪で投獄されたものの脱走したのだった。監督はアスガー・レス。私は高所恐怖症なのでわりと本気で怖かったです。
 「高層ビルで粘っている自殺志願者がいるが、何をしているのか」というワンアイディアで乗り切った作品。なので、あまり内容を知らずに見た方がいいタイプの映画だと思う。男が高層ビルで何をしているのか、というところからストーリーを考えて、同時平行している事件や過去の事件は後付けっぽい。なので、若干伏線が強引な部分はある(あまりに用意周到だろうとか)。ただ、高層ビルの窓の外に男が張り付いている、というビジュアルは確かにインパクトがあるので、これを中心にもってきた時点である程度勝ったな!という感じはする。
 ニックが何をしようとしているのか、なぜルーズベルトホテルにいるのか、という部分は結構早い段階で明かされる。その後は、彼はどうやって「やりきる」のか、という部分でハラハラさせる。正直、かなり強引で粗い(特に同時進行している「ミッション」)のだが、B級サスペンスぽさがあって却って楽しかった。細部を詰めない方が楽しめる映画というのもあると思う。わりと大雑把な作品ではあるが、ラストの展開、最後にキーパーソンとなる人など、今のアメリカ庶民の気分がかなり反映されている気もした。
 主演のサム・ワーシントンは、結構な大作映画に出演してきたはずなのに、未だに印象が薄い(そして最終的には体力勝負な役どころばかりやっている気がする。今回はさすがにないか・・・と思ったら・・・)。逆に、といつ見ても新鮮な感じがするといえなくもないかも。今回も、弟役のジェイミー・ベルの方が印象に残った。弟のガールフレンドや、女性警官のリディアも気丈でいいキャラクターだ。また、リディアの上司が一見いけすかないのだが、実はしっかり上司をやっていて、見ているうちに好感度上がる。