大野更紗著
ビルマ難民問題を研究していた大学生である著者が、ある日突然、原因不明の難病を発症した。何度も検査・治療を繰り返すうちに見えてきたのは、日本社会が難病者にとってとっても不親切であることだった。発症し病状はきついが原因がわからず病院をたらいまわしにされる、治療そのものがとにかくきつい、というあたりは想像の範疇内だったが、著者は病気が辛い!と声高に訴えたいわけではないだろう。病気も問題だが、難病になった際に受けられるはずの公的援助が、当事者(難病者)にはとにかく使い辛い。複雑で手間隙かかる書類の取得や提出は、体を動かしにくい人には相当な負担だし、経済的にもどんどん逼迫していく。治療をすぐに受けられる場所に一人で住むのも困難だ。公的支援しか頼るものがない(そういう人がこれからどんどん増えるだろうし)という難病者も多いだろうが、難病であることがどういう状況か、ということをあまり考慮していない仕組みになっているのだ。難病と戦うだけでなく、お役所と戦うバイタリティが必要とされるなんて・・・。難民支援を行っていた著者が、自分が置かれている状況がまさに難民だと気付く部分は本著の白眉だと思う。さらっと軽めに書いているが、この軽さに辿りつくには、相当自分も周囲も突き放していかないとならなかったろうし、それはすごくきついことだろう。ちなみに都心部の方がお役所関係の窓口対応が丁寧というのはほんとにそうなんですよね。