クラブのオーナー、コズモ・ヴェテリ(ベン・ギャザラ)はカジノで大負けし、マフィアに借金をしてしまう。金のないコズモにマフィアは、返済の代わりにある中国人のノミ屋=チャイニーズ・ブッキーを殺せと持ちかける。監督・脚本はジョン・カサヴェテス。
 普通の男が暗黒街の大物の暗殺を試みる、という物語の大筋はあるのだが、いざ現場を踏むまでがやたらと長い。コズモはクラブを経営しているのだが、このクラブがらみのエピソードが多い。彼のクラブはストリップや芸人のステージを見せる、今で言うバーレスク的なクラブ。このステージに結構な時間を割いている。ショーガール役には本物のストリッパーを起用しているそうだ。ショー自体も結構面白いのだが、監督の興味がサスペンスドラマよりもショーの方に移ってしまったのか、全体のペース配分のバランスが悪いように思った。コズモがクラブにすごく思いいれがある、という点がポイントなのでクラブの様子もある程度見せないとならないのだが、場末のクラブ(という設定、多分)なので侘しさが漂い、ステージを延々と見ているのもちょっと辛かった。
 コズモはカジノでの引き際の悪さからも窺えるように、少々だらしない、こらえ性のない男だ。お金がなくても賭けちゃうし、雇う当てもないのに女の子のオーディションをして店のショーガルともめたりする。殺しを持ちかけられるとさすがに焦るが、妙に暢気だ。しかし、クライマックスではやるときはやるんだぜ!的な活躍を見せる。その活躍にいたる道中がまた「ついてない男」っぽくておかしいのだが・・・。「気楽な人が一番幸せ」というような言葉が出てくるが、コジモがそれを体現している。ただ、その気楽さのつけを最後に払うことになるのだが。