ライターのベンジャミン(マット・ディモン)は半年前に最愛の妻を亡くし、14歳の息子ディランと7歳の娘ロージーを抱えて悪戦苦闘していた。反抗期のディランは問題を起こして退学処分になり、ベンジャミンも衝動的に勤めていた新聞社を辞めてしまう。妻の思い出ばかりの町から引っ越そうと決めたベンジャミンは、衝動的に郊外の物件を決める。しかしその物件には「動物園のオーナーになる」という条件が付いていたのだ。監督はキャメロン・クロウ。実話が元になっているお話だ。
 予告編ではJonsiの音楽を使っていて(本編の音楽もJonsiが手がけている)、ちょっとキラキラが過ぎるなー本編はさすがにここまであざとくはないだろうと思っていたら、もっとあざとかった(笑)。ファンタジックなサントラにちょっと懐かしめの挿入曲で、どんどん盛り上げてくる。ちょとキラキラすぎて、もうちょっと控えめな方が品がいいんじゃないかなと思った。
 良作だとは思うが、色々とひっかかるところもあった。特に、ベンジャミンの悲しみの表出の仕方だ。彼は妻を亡くしたことが辛くてたまらない。それは当然が、自分の悲しみでいっぱいいっぱいで周囲に気を回す余裕がないのだ。会社を辞めたのも引越しも動物園も、悲しみからの逃避行動の一種だろう。逃避行動がダメというわけではない(おもいっきり逃避した方がいいときもあるし)が、子供がいるんだからまず子供の生活考えろと言いたくなってしまう。
 特にディランは田舎暮らしを嫌がるし、母親を亡くした悲しみを率直に出すのが難しい、父親から見たら「よくわからない」タイプだ。妹が母親の死と適切に向き合っているぽいのと対称的だ。妹の方が気難しいティーンエイジャーに比べれば圧倒的に可愛げがあるから、そっちに目がいってしまうのもムリないとは思うが、もうちょっと見てやれよと。ベンジャミンが娘の方ばかりかまうのは、娘が幼いという以上に、不愉快な思いをしたくないんだろうなという気分が透けて見えちゃってねぇ・・・。まあ気持ちはわかるが親だから!もうちょっとしっかり!
 全編「もうちょっとしっかり!」とベンジャミンをひっぱたきたくなる話なので、いい話のはずなのに妙なストレスがたまる。ベンジャミンはライターとして数々の危険な現場に赴いてきた。しかし、最も身近な危機に対して彼は為す術もない。悲しいのは当然、でも大人なんだからその悲しみに周囲を巻き込まないでほしい、自分の中で処理してほしいのだ。私が大人(私も大人ですが)に過大な期待をしているのかなーとは思うが。
 また、ベンジャミンが動物園運営を「冒険だ」と言うのもひっかかる。彼にとっては未知の領域で確かに冒険だが、それを日常としてずっとやってきている人たちの前で「冒険」というのは、どうなんだろうなと思った。言われてむっとしないのだろうか。