11歳の少年同士のケンカで、ザッカリーに棒で叩かれたイーサンが前歯を2本折った。ザッカリーの両親、弁護士のアラン(クリストフ・ヴァルツ)と投資ブローカーのナンシー(ケイト・ウィンスレット)夫妻は、イーサンの両親である金物店経営者のマイケル(ジョン・C・ライリー)と作家のペネロピ(ジョディ・フォスター)夫妻を訪問。示談は無事纏まるかのように見えたが、徐々に4人の雰囲気は険悪になっていく。監督はロマン・ポランスキー。
ポランスキー先生どうしたんですかと言いたくなるような軽妙で楽しく大笑いできた作品。そして80分足らず(ほぼドラマとリアルタイム)という素晴らしいサイズ!原作は戯曲だそうだが、さらにタイトになっているようだ。脚本・脚色のキレがいい。
最初は子供のけんかを巡る示談話なのだが、段々言い合いになり、話の脈絡も「こどものけんか」からズレてくる。子供のことではなく、お互いがお互いのことを中傷しあうという、まさに「おとなのけんか」の様相となってくるのだ。話がどんどんズレていくところが実にケンカっぽくておかしい。さあこれで話は終わり~、と思ったら妻/夫が余計な一言を言ってさらにその場が延長されるという、全てにおける間の悪さがまたおかしくて笑ってしまった。
4人それぞれのキャラクターのバランスも面白かった。のらりくらりとしており、自分の仕事にしか興味がないアラン、スマートに取り繕ろうとするナンシー、一見いい人なマイケル、インテリ・リベラルなペネロピというそれぞれのキャラクターがぶつかり合い、本音が露呈していく。特にペネロピ役のフォスターは、ある意味セルフパロディのような役で、イメージアップなのかダウンなのかわからないことに。この役をフォスターに振った監督はかなり意地が悪いと思う。文字通り体をはっているウィンスレットよりも、パブリックイメージの強さもあって衝撃、というか笑撃がある。また、ヴァルツのすごくいいかげんそうな風体は見ているだけでおかしい。俳優のイメージを上手く利用したキャスティングだなと思った。
4人の論争中、話の論点もズレていくのだが、敵味方の陣営がどんどん組み変わっていく。これが面白い。夫婦対夫婦のけんかだったのが、徐々に「だから夫ってイヤね!」VS「だから妻ってやつは!」という男女の戦いになり、ふいにまた夫婦対夫婦に戻っていく。「共通の敵がいると盛り上がる」という人間関係のいや~なところが上手く出ている。