車で殺風景な国道沿いをさ迷う青年(宮崎将)。彼は人気のない海岸に辿り付き、車を止めた。数日後、その海岸でアイドルグループ「ももいろクローバー」のPV撮影が行われていた。監督は真利子哲也。
 青年が何をしたのかは冒頭でちらっと見えるのだが、フラフラしている様がその行為の前なのか後なのか、途中まではっきりとしない。冒頭の事件にいたるまでの、時系列をずらした構成なのかと思ったら時系列通りだったのでちょっと拍子抜け。しかし、時系列を勘違いしていたせいで、彼が最終的に至るある行為に、ああそうなるのかと余計にやりきれなくなった。この行為、なんで一足飛びにそこにいくのか、そこまでしなくても、と思わなくもないが、そこに至るまでの障害となる(というのは変な言い方なのだが)ストッパーみたいなものが全然ないということだらか、もう暗澹たる気持ちになる。彼がコンビニで買うのがカップ麺というのがまた侘しくてぐったりとする。
 国道沿いの情景の殺風景さも、侘しさを煽る。地方とも郊外ともつかない無個性な風景だ。ただ、侘しさを煽るのは風景そのものというより、国道沿いに溢れる音のような気がした。車の通行音以外があまり聞こえないのだ。
 青年が誰にも知られずある行為に至る一方で、キラッキラしたアイドルたちが笑顔を振りまいている。その対比が寒々しい。PV撮ってるスタッフにとっては、スケジュール通りに仕事をあげることが第一で、彼の処遇なんてどうでもいいんだろうな、でも「どうでもいい」と思うことは責められないよなと。人生の明暗見ちゃったみたいで・・・。ただ、アイドルのPV撮影も結構過酷そうなので、両者は紙一重でもある。どちらにしろ、優しくない世界なのだ。
監督の長編デビュー作『イエローキッド』でも、現代の、ごく普通の貧しさをわかっている人だなという印象を受けたが、本作ではより自覚的にやっているように思った。