三上延著
鎌倉の古書店「ビブリア古書堂」でバイトをすることになった、本が読めない体質の五浦。店主の栞子は口下手・人見知りな美女で接客業には不向きだが、本に関する知識と情熱は人並み外れている。その知識と洞察力で、彼女は持ち込まれた古書にまつわる謎を解いていく。ラノベ読むのなんて何年ぶりだろう・・・。もっとも、ラノベとはいっても本作の文体は割とお行儀良く、ラノベが苦手な人でも大丈夫だと思う。本についてだけ饒舌なヒロインと、本が読めない主人公という対称的なコンビだが、一種の安楽椅子探偵ものとしてコンビの役割分担がうまく機能している。いわゆる「日常の謎」ミステリだが、本にまつわる心温まる話だけでなく、人のほの暗い部分も垣間見られ、案外大人な話も。また、栞子の書物に対する愛情と表裏一体なある事件の真相も。ある分野に熱中する人の業が描かれるが、この業はヒロイン自身もはらんでいるものなので本シリーズについてまわるのかもしれない。