エリック・マコーマック著、増田まもる訳
小さな炭鉱町の薬剤師が残した手記を「私」は手に入れる。手記によれば、町に水の研究をしている男カークがやってきたという。そして記念碑や墓の破壊、そして殺人事件が起こったと記されていた。記者である「私」は行政官に事件を取材することを命じられ、その町に訪れた。町では人々が奇妙な病に侵され、次々と死亡していた。殺人事件、そして過去の大量死事件を巡るミステリのように一見見える。そして確かに探偵が情報を集め推理をし真実へとたどり着こうとする、ミステリとしての側面はある。が、同時にミステリの構造を解体しさらすような、さらに言うなら小説というものの仕組みをさらすような小説だと思う。小説として提示されるものは常にだれかの語り・騙りなのだ。そして何が正しいかが強調されるミステリにおいては、その仕組みがより意識されるのだと思う。