第12回東京フィルメックスにて鑑賞。冷酷な借金取り立て屋のゴンホ(チョン・ジェヨン)は癌で余命3カ月の診断を受ける。助かるには10日以内に肝臓を移植するしかない。ゴンホは死んだ息子の臓器が移植された相手なら、自分に適合するはずと考え、ドナー候補を探す。たどり着いたのは「ミス韓国」の異名をとる女詐欺師ハヨン(チョン・ドヨン)。ハヨンは移植に同意するが、自分が刑務所に入る原因となった男を捜し出すことを条件にしてきた。監督はホ・ジョンホ。これが初長編だそうだ。
 冒頭、駐車場で車のナンバーを確認し、非情な取り立てに至る一連の流れがスリリング。この雰囲気から、ドライなサスペンス劇なのかなと思った。おそらく当初は取り立てやと詐欺師、やり手同士が騙し騙される軽妙な作品というプランだったのではないかと思う。
 しかし、ゴンホと死んだ息子の関係、ハヨンと娘の関係が明かされるにつれ、どんどんウェットで情念に満ちてくる。映画が分裂しているような不思議な印象を受けた。主人公であるゴンホ自体が、息子を亡くしてから人が変わったようになったという、ある意味分裂した人物なので、そこに引っ張られたのかなとも思う。しかし、1本の映画としてはちょっとトゥーマッチな感じ。そんなになにもかも詰め込まなくてもいいのになぁ。
 ゴンホの、息子の死にまつわる記憶が徐々に明らかになるという、ミステリ的な要素もある。これはこれで面白いのだが、ゴンホの息子への思い、悔恨を盛り上げすぎだったように思う。息子への疎ましさと罪悪感には共感できるだけに、もったいない使い方。終盤は別の映画みたいなスーパーマン的活躍だし・・・。ラストもひっぱりすぎ・盛りすぎで正直興ざめ。サービス精神のたまものなのだろうが、鼻についた。もっと洗練された作品にできたと思うのだが。それとも、情念部分で盛り上げないと韓国では人気が出ないのだろうか。