第2次世界大戦中のアメリカ。愛国心に燃える青年スティーブ(クリス・エヴァンス)は、軍人になって国を守ろうと志すものの、病弱で小柄な為に入隊テストに何度も落ちていた。ある日、軍の研究者アースキン博士の実験に協力することになった彼は、実験の成果により強靭な肉体を手に入れる。しかし、博士はナチスの一派ヒドラ党に暗殺され、計画は頓挫。スティーブは軍のマスコットキャラクター “キャプテン・アメリカ”として宣伝活動に明け暮れるが。監督はジョー・ジョンストン。
 ヒーローが戦地に赴くのかと思ったら延々ドサ回りやらされていて笑ってしまった。が、このご時勢に愛国心に燃えて国の為に尽くすアメリカのヒーローなんて、タイミングが悪いにもほどがある・・・。もっとも、本国ではそこそこいい興行成績だったそうで、やっぱりアメコミ原作映画は景気に関わらず手堅く集客できるのかしら。ただ、原作の知名度がさほど高くない日本ではさすがに厳しかったらしく、シネコンでは上映するスクリーンがどんどん小さくなり上映回数もいきなり減っていたりして、ちょっと気の毒だった。『アベンジャーズ』を作りたいが為に無理やり作ったような感がなくもないが、メカや背景美術等デザイン面がレトロSF風味で味わいあり、それなりに楽しいのに。
 ただ、あまり時代にそぐわないヒーローだなという印象は否めない。スティーブは善人で、彼の愛国心は非常に素朴なものだ。そういう素朴さは現代ではあまり共感を得ないのではないかなと思う。何で自分の国が正しいと信じることができるのか、という部分で、今見ると随分と無邪気な設定に見えてしまう。実際の戦争を背景にしていることで、製作側もずいぶんとやりづらかったんじゃないだろうか。職人肌のジョー・ジョンストン監督だから上手いこと纏められたのではという気も(この監督は作品の方向に一貫性がないんだけど、何撮ってもあんまり下品にならないのがいい所だと思う)。
 本作に続く『アベンジャーズ』で競演するのが、神様だから人間を守るよ!仲間も守るよ!なマイティ・ソーや、基本発明家であり商売人なアイアンマン=トニー・スタークという妙にキャラが立った人たちなので、比べると余計に立ち居地が難しいなと思った。ナイーヴな正義漢スティーヴくんは、能天気かつ自己中な神様とおっさんに耐えられるの?!現代社会に馴染めるの?!今から心配だ。