ススキノのバーを根城に探偵をしている「俺」(大泉洋)は、ある晩、コンドウキョウコと名乗る女から電話で依頼を受ける。しかしその依頼で動き始めた「俺」は、怪しい男たちに拉致され雪原に埋められてしまう。なんとか逃げ出した「俺」は、相棒兼運転手の高田(松田龍平)と真相を探り始める。原作は東直己の小説。監督は『相棒』シリーズの橋本一。東映が本作のような作品をリリースしてきたことが心底うれしいです、私は。
 祝・2作目製作決定。最近の日本映画の中ではキラリと光っており、プログラムピクチャーとしてシリーズ化するといいなぁと思っていた折に嬉しい知らせだった。東映はこれで、特撮と『相棒』以外の持ち駒が増えたことになるな(笑)。ジャズベースのサントラを含め、あえて懐かし目のテイストに落とし込み、ちょっと昔の東映アクション映画みたいな雰囲気が出ていると思う。原作は90年代初頭が舞台なので、映画でも「俺」が携帯を嫌がり黒電話に拘っている等、上手く摺り合わせている。
 主演の大泉にとっては、故郷北海道を舞台に主演映画ということで、かなり力が入る仕事だったのではないだろうか。体もしっかり絞っているし。そして確かに、ススキノの町に大泉がしっくり溶け込んでいる。原作の「俺」のイメージよりも大泉はかなり軽目なのだが、現代のハードボイルドヒーローなら、これで正解。原作に忠実な主人公の造形だと、マッチョのなりそこないぽくて現代では反感買いそうな気がする。
 私は大泉を特に好きでも嫌いでもなかったのだが、本作を見てようやく、彼の魅力を理解した気がする。この人、やっぱりスターだったんだな(笑)!と思わせるものがあった。舞台に助けられたという面も大きいだろうけど、主人公のキャラクターを大泉側に寄せたのは正解だったと思う。軽いようでいて情に厚い、へなちょこだがうたれ強い、いいキャラクターだ。
 共演者では、なんといっても相棒役の松田龍平がいい。『まほろ駅前多田便利軒』のバージョン違いみたいな演技プランで、予想の範疇内ではあるのだが、ぼさっとした立ち居振る舞いが大変にキュートだった。東映は『相棒』シリーズで、魅力的なキャラクターの造形、特に男性キャラクターの造形や、コンビものとしてのキャラクター同士のやりとりのノウハウを培ってきたんじゃないかと思う。いわゆるキャラの立て方にはすごく安定感があった。
 ちなみに原作の「俺」のファッションセンスは当時の流行を考慮してもちょっと・・・なのだが、本作の「俺」はそれなりにシュっとしていて安心した。特に普段着の衿つきカーデがかわいい!