リゾート地の別荘に来ているカップル、クリス(ラース・アイディンガー)とギッティ(ビルギット・ミニヒマイアー)。仲の良さそうな2人だが、あけっぴろげなギッティに対して、クリスは世間体や自分の面目を気にしており、時にすれ違う。クリスの知人カップルと出会ったことで、そのすれ違いはより明確になっていく。監督・l脚本はマーレン・アーデ。
 題名はちょっとコミカルに寄りすぎていて、内容とあまりそぐわない。社会学的といえば社会学的かもしれないが、勧めているわけではないしな・・・。クリスとギッティの間のやりとりは、カップルあるある的で、見ていてイタい思いをする人は多そうだ。イベントを盛り上げようとするポイントがズレていて相手がちょっとひいている(相手のノリが悪いときに盛り上げようとして逆効果)ところとか、何で相手が不機嫌なのかよく分からないとか、楽しい時以外の「あるある」感が生々しい。
 特に、これはカップル云々とは関係ないのだが、クリスの先輩(らしい)同業者に対する態度は、こういう人いるよな~と思うと同時に、自分もこういうことやっちゃってるかも、とチクリと刺される。自分より社会的に評価されている人、自信に満ちた人に、その人のことを特に好きだったり尊敬しているわけでもないのに、つい相手に擦り寄るような言動をとってしまうのだ。クリスは割りと対外的な格好を気にする性質なので、相手を気に食わなくても一応立てようとする。自分に正直でいたいギッティにはそれが気に入らない。そしてクリスはギッティの歯に衣着せない物言いを自分の面子をつぶすようなものに感じるという悪循環。
 ギッティはギッティで、クリスに歩み寄ろうと女性らしい格好をしたり「尽くす女」的に振舞ったりするが、クリスは逆にそんな彼女を媚びていると思ったり、かみ合わない時ってとことんかみ合わなくなるんだよな~としみじみ。確かにギッティはワンピースも似合うが、ショーパンにキャミみたいなラフな格好の方が生き生きとしていて似合うのだが。
 見ていていろいろ身につまされる人もいるだろうが、映画としては少々物足りなかった。俳優は皆好演しているので、「あるある」止まりでその先まで行けなかったのが惜しい。なお、クリス役のアイディンガーの頭頂部がかなり薄くなっており、見るたび気になってしまった・・・