TVアニメとして2度シリーズ化され、映画化されるのも本作が2度目となるハガレン。原作は荒川弘の漫画で、最近めでたく完結した。本作は今までのアニメハガレンからスタッフを一新して挑んだそうだ。監督は村田和也。脚本をミステリ作家の新保裕一が担当したことでも話題になった。
 錬金術の禁忌とされる人体練成を試みた代償として、体の一部を失ったエドワード(朴ロ美)と体全てを無くし魂のみ鎧に定着させているアルフォンス(釘宮理恵)のエルリック兄弟。体を取り戻す為に必要だという“賢者の石”の正体を知った2人は、別の方法を探し旅を続けていた。ある日、脱獄犯メルビンが見慣れない練成陣を使っているのを見た2人は、彼を追って西部の町テーブルシティへ向かう。
 ハガレンの世界観を踏まえつつ、今までのTVシリーズや映画とは、作画の面でまた違った方向性を目指した意欲作だと思う。原作を含め、ハガレンは線がシャープで、特に劇場作品1作目は美麗な印象だった。今回は線のシャープさ、美麗さというよりも、動きそのものの面白さを目指しているように思った。なので、キャラクターの絵はよくみるとそれほど精度が高くない(笑)。ただ、動くととても魅力が出てくる。動画の主線もちょっと手書きっぽくムラがあるというか、やわらかい感じのタッチだ。 ハガレンは一貫してBONESが製作しているが、BONESらしからぬ、どちらかというと往年の日本名作アニメとか、ジブリアニメのタッチに近い印象だった。アクション面でも、アルがコナン走り的なものをやったり、これはカリオストロか!みたいな雰囲気だったりと、楽しい。この“活劇”的な楽しさは、ハガレンシリーズの中では初めて見たような気がする。
 で、動画面では今までとはちょっと赴きが異なるし、ストーリーも独立していてシリーズを見て(読んで)なくても大丈夫。しかし、作品の核にあるところは間違いなくハガレンであるという、スピンアウトとしては理想的な出来だった。奇しくも、劇場版1作目と同じく「ここではないどこかなどない」というテーマが根底にある。TVシリーズにしろ劇場作品にしろ、芯にあるものが原作からズレず、なおかつ毎回違った魅力を打ち出すことができた、原作付きアニメとしては稀有な例だと思う。