ヘルツォーク映画祭2011にて鑑賞。ヴェルナー・ヘルツォーク監督、1987年の作品。19世紀初頭のブラジル。元山賊“コブラ・ヴェルテ”だったフランシスコ・マヌエル(クラウス・キンスキー)は、農園の奴隷監督として働いていた。しかし主人の娘を妊娠させてしまい、奴隷商人としてアフリカのダオメーへ行くことを命じられる。奴隷売買廃止が謳われるようになってきており、難しい仕事で行ったら戻ってこられないと噂されていたが、コブラ・ヴェルデは野心から承知する。彼はダオメーの王タカパリに武器を提供し、見返りに奴隷を供給を要求する。
 奴隷商人からアフリカの総督にまでなってしまった男の伝記映画。コブラ・ヴェルデは天涯孤独で、ブラジルにいても変人扱いされるし、アフリカでは当然異邦人だ。ヘルツォーク監督はこういった、世界に対する異物的な人間、その場にそぐわない人間に愛着を持っているように思う。今回の傑作選で上映された作品の中では、なぜか本作が一番面白かったというかその時の気分に合ったというか・・・。本編とはあまり関係ないアフリカ原住民の踊りとか歌とか、賑やかで楽しい・・・と同時に躁状態が続くみたいで不穏。
 コブラ・ヴェルデは元々奴隷商人で、黒人達を買ってブラジルへ送るわけだが、いつの間にかアフリカへ渡って、いつの間にか現地の女性達でアマゾネス軍団を結成、戦い方を指導して王に対する反逆者となっている(正確には王を討とうとする甥に協力している)。この無軌道な人生には笑ってしまった。
 コブラ・ヴェルデは常に何かに怒り野心に燃えているように見えるのだが、具体的に何をどうしたいのかというところはあまり見えないし、本人にも具体的なプランはなかったのではないか。勢いで突き進むうちに妙なところに迷い込んでしまったような人だ。アフリカでの生活に疲れ「国に帰って結婚したい・・・」ともらしたりもするが、かといって結婚してもあっという間に家庭崩壊しそうだ。居場所のない人という感じがすごくするのだ。