ヘルツォーク傑作選2011にて鑑賞。ヴェルナー・ヘルツォーク監督、1982年の作品。この都市のカンヌ国際映画祭監督賞を受賞している。19世紀末のブラジル。アンデルに鉄道を敷こうとしたが破産したフィッツジェラルド、通称フィッツカラルド(クラウス・キンスキー)は、ブラジルの奥地イクイトスにオペラハウスを建てることを夢見ていた。資金を稼ぐ為、いまだ手付かずのジャングルを切り開いてゴム園を作ろうと、船で川を進む。
 面白エピソードに事欠かないヘルツォーク先生だが、本作の製作にまつわるトラブルの数々は、あまりにも有名だろう。そもそも主演のキンスキーも、降板に降板を重ねてのやむをえない人選だったそうだ。で、私は今回初めて本作を見たのだが、確かにこれはトラブル起きるだろうなー、役者逃げそうだなーという気はしてきた。本当にジャングルの奥地に入っていくのはともかく、本当に船にあんなことさせるとは・・・。普通だったら撮影技術で何とかしそうなところなのだが。話には聞いていたけれど、これ実際に人の1人や2人は死んでいそうな感じなんだよ・・・。監督の熱意はわかるが、職場としては過酷過ぎて最悪だ(笑)。これでスタッフ内で揉め事が起きないわけがない。
 しかしその甲斐あってというかなんというか、映像には実に迫力(というか狂気・・・)がある。生ものの強さっていうのはやっぱり生じるのかもしれない(今だったら精度の高い特撮技術があるだろうから話は別だろうが。・・・でもヘルツォークは生もので撮りたがりそうだな・・・)。船がとんでもないことになっている部分よりも、船が密林の向こうから姿を現すシーンの方が幻想的な魅力を感じた。きてれつなシチュエーションそのものではなく、それを取り巻く森のうごめきみたいなものに魅せられた。
 フィッツカラルドは、一般人から見たら変人だろうし地元の社交界でもつまはじきにされている。事業にも失敗して、社会的には負け犬だろう。しかしラストの彼の表情は負け犬のものとは思えない。どういう形であれ、人生楽しんでいる人のそれだ。客観的には悲惨であっても彼にとってはこれが正解なのだろう。そこに妙に心打たれた。