「鬼の松平」と恐れられる会計検査院の松平元(堤真一)は部下の鳥居忠子(綾瀬はるか)、旭ゲーンズブール(岡田将生)を率いて大阪へ出張してきた。実地調査を順調にこなしていく中、松平は財団法人OJOなる組織に違和感を覚える。しつこく実地調査・聞き取り調査を行うがOJO側ははぐらかすばかり。やがて松平は大阪が400年守ってきた秘密にたどり着く。原作は万城目学、監督は鈴木雅之。
 予告編でも明らかなように、大阪は実は「大阪国」だった・・・!という壮大なホラ話なのだが、そのホラを成立させる為の土台が脆弱なように思った。中井貴一が「大阪国総理大臣です」といい始めても何寝言を言っているのかと。凄みがないのだ。謎が明らかになるまでの手順がバタバタしていて、あっさりしすぎだと思った。時間の配分があまり上手くないんじゃないだろうか。映像面でも手際が悪いというか、やらなくてもいいことをやって裏目に出ている気がする。同じシーンを角度を切り替えて細かいショットで映す、という演出をたびたびやっているのだが、話の腰を折るようでうっとおしかった。かっこよさげに見えるからやってみた、という感じがするのが残念。
 本作、親子の絆、特に父から息子に受け継がれていくものというのが物語のひとつの軸になっているのだが、そこにも違和感があった。父親のあり方があまりに前時代的ではないかと思う。普段あまり話もしない父親だからこそここぞという時の言葉が残る、という趣旨なのだが、普段話さない人からいきなり重要な話をされても理解されないんじゃないかと思う。大事なことを伝えたいなら、それこそ日常的にちゃんと話してないとダメだろう。また、中井貴一演じる父親が重要な話を息子にするシーンがある。父親は「息子」に対して話しているのだけど、息子はそういう扱いを望んでいないのではないかと思う(「子」としてならわかるが、ストーリー上明らかに「息子」に対してということになっているので)。一応最後にフォローあるのだが、ちょっとした部分でデリカシーに欠けているように思った。
 本作、ファンタジーが人を支えるという物語でもあり、その趣旨は私も共感できるし、他にいくつもあるそういった映画は大体好きだ。しかし本作では、一都市の住民全員が同じファンタジーを共有している。これはちょっと規模が大きすぎて気持ち悪い。何で皆で同じ方向向いてるの?!と不安になる。クライマックスなど、むしろ大阪にとってはマイナスイメージなのではないかと思った。人を支えるファンタジーとは、基本的に個人的なものではないだろうか。