1975年、ロサンジェルス。ロックスターを夢見る15歳のジョーン・ジェット(クリステン・スチュワート)は音楽プロデューサーのキム(マイケル・シャノン)に自分を売り込む。キムは女子だけのバンドを作ることを思いつき、デヴィッド・ボウイにあこがれる少女シェリー・カーリー(ダコタ・ファニング)をボーカルとしてスカウトし、ジョーンたちと組ませガールズバンド「ザ・ランナウェイズ」として売り出す。ザ・ランナウェイズは一躍ブレイクするが。監督はフローリア・シジスモンティ。エグセクティブ・プロデューサーとして元ザ・ランナウェイズのジョーン・ジェットが参加。原作はヴォーカルだったシェリー・カーリーの自伝だ。
 70年代に活躍したガールズバンド、ザ・ランナウェイズの疾走を描いた作品。ザ・ランナウェイズについてはバンド名くらいしか知らなかったので、実在のバンドとは別物の「バンド物語」として本作を見た。ただ、「バンド物語」と言うほど音楽に重点を置いた作品ではないように思う。当時の音楽を多用していて楽しいが、ジョーンやシェリーがどういう音楽をやろうとしていたか、音楽を作っていく上での葛藤みたいなものは、あまり触れられない。これは、ザ・ランナウェイズが「ガールズバンド」というコンセプト先にありきで作られたバンドだからというのもあるかもしれない。ジョーンはともかく、シェリーには「音楽をやる」という強いモチベーションはあまり感じられない。劇中でも何度か描かれるが、そもそもシェリーが好む音楽はジョーンがやりたい音楽とはぜんぜん違う。シェリーがなりたかったのはスター、ジョーンがなりたいのはロックンローラーだ。2人は方向性が違い、徐々にそれが露呈していく。デビュー前のジョーンとシェリーのキメ服が対照的なのが、それを象徴している。シェリーはセクシーなグラムロック系(普段は結構フェミニンな格好)、ジョーンはよりパンクス寄り(普段も)だ。もし同じバンドじゃなかったら、友達にもならなかった2人なのではないかと。
 彼女たちのプロデューサーであるキムは、彼女達を指導し、男たちのロックと渡り合う術を叩き込んでいく。そして演奏も歌もそう上手いわけではなく、飛びぬけた美人というわけでもない彼女達をスターにする。が、同時に彼女達を食い物にしていく。彼女たちのスタイルは、キムが考えた「ウケる」スタイルであって、男性と戦うようでいながら男性ウケも狙ったものだ(日本では女子ファンが多い描写になっていて、ちょっと面白かった。日本の雰囲気の再現度は結構高いと思う)。シェリーは「男性ウケ」の部分に律儀に適応していく。セルフプロデュース能力はあんまりない人だったのかなーという感じがして痛々しい(当時15,6歳とかではしょうがないだろうけど)。ジョーンの方が自分が何をやりたいのか、どう見せたいのかというビジョンがはっきりしていたのかもしれない。
 主演のダコタ・ファニングとクリステン・スチュワートは熱演。ファニングはまだ顔つき・体つきが幼く、下着風のセクシーな衣装がかえって痛々しい。スチュワートが予想外にロック少女がハマっている。今回はちょっともさっとした感じにわざとしていると思うのだが、入浴シーンでは顔立ちのよさが際立っていた。