組織の金を盗み、命を狙われるニッキー(ジョン・カサヴェテス)は、同じ組織の一員で幼馴染の親友マイキー(ピーター・フォーク)に助けを求める。『裏切りのメロディ』の題名でレンタルビデオのみリリースされていた1976年の作品が、ニュープリントで日本公開された。監督はイレイン・メイ。
 マイキーとニッキーのやりとり中心にストーリーが進むのだが、そのやりとりの中で2人の関係性が浮かび上がってくる。ニッキーが大変に困った奴で、マイキーはこれまで散々振り回されてきたということがなんとなくわかってくる。ニッキーの駄目な人加減は相当なもので、こんな幼馴染イヤだ・・・と思うことは間違いない。ただ、マイキーはマイキーで、ニッキーから金を借りていたり、女にモテて要領の良さ気なニッキーに対してコンプレックスを抱いていたりで、純粋な友情というわけでもないのだ。
 2人の関係は、友情の末期常態とでもいうか、もうぐっだぐだになっているように見える。ニッキーはマイキーの友情を試すかのように無茶ぶりに次ぐ無茶ぶりをする。マイキーはニッキーに対してキレそうになりつつ、時には本当にキレつつも、彼との縁を切れない。どちらかが裏切るまで関係は終わらず、悪循環に陥って行くように見える。こんな友人関係、私はイヤだなぁと思いつつ、迷惑だけれど全面的に否定はできない友人というのは(ここまで極端ではないにしろ)いそうではある。ニッキーの無茶ぶりは、ここまでなら大丈夫か、いやここまでならどうかという他人とのつながりの確認作業のようで、痛々しくもある(同時に大変イラつきますが)。マイキーもマイキーで、ニッキーは本当に自分を必要としているのか見定めようとしているような感じもある。どうしてここまでやらないと駄目なんだろうなーと、見ていてつらい(やっぱりイラつくけど)。2人はあまりに運命共同体すぎて、裏切ることでしか自分が助かることができないのだ。どちらが先に裏切るのか、はたして裏切りきる(という言い方は妙だが)ことができるのか、最後までスリリングかつヒリヒリする。
 おかしくてやがてかなしき・・・とつぶやきたくなる男2人のぐずぐずな友情物語。主演のカサヴェテスとフォークは、実際に大喧嘩したり仲直りしたりを繰り返してきた仲だそうで、2人の関係が役作りにも反映されたのかなとも思った。なお、ニュープリント版はかなり映像きれいになっています。