北極で巨大な機械のパーツらしきものを見つけたのび太(大原めぐみ)とドラえもん(水田わさび)は、パーツを人のいない鏡面世界に持ち込み、組み立てていく。出来上がったのは巨大ロボット。大喜びするのび太だが、そのロボットは強力な兵器だった。ロボットを送り込んできたのは遠く離れた惑星メカトピア。彼らは地球人を奴隷にしようとしていた。巨大ロボットと共に送り込まれた少女型ロボット・リルルは、ロボットをのび太から取り戻すため彼らに近づく。
 「鉄人兵団」旧作はコミックのみ読んだ(映画も後に見たかもしれないが覚えていない)。大長編ドラえもんは、私はなぜか映画は見ずにコミックだけ読むことが多かった。シリーズ内でも、「鉄人兵団」は特に好きだった作品。そして、声優、キャラクターデザイン共に一新されたリニューアルドラえもんはTVシリーズもまだ見たことがなくて、本作で初めて触れた。声優に関しては全く違和感を感じない。新劇場版のシリーズは、作画にクセがあるという話を聞いていたが、キャラクターの主線が太い手書き線ぽいタッチ。線の強弱を意図的に出しているので、これがイヤだという人はいるかもしれないなとは思う。個人的には、キャラクターのやわらかさが強調されてすきです。
 この新シリーズ、キャラクターの「やわらかさ」を強調した作画・演出になっているように思う。旧作では、ドラえもんの体はあまり伸び縮みしなかったように思うのだが、今作ではよくへこむし伸びる。むぎゅっとなるのだ。冒頭、のび太がドラえもんにゴネる場面の作画が素晴らしい。ドラえもんの顔がむっぎゅむっぎゅになるのだ。ここを見て、ああ新しいドラえもんはこういう方向で行くんだな、となんとなく納得した。新しいドラえもんは、触りたくなるドラえもんなんじゃないかなと。
 前半は細かい反復ギャグを織り交ぜつつ、のんびりとした雰囲気。後半で急に話をたたみかけてくる。ペース配分に若干難があるんじゃないかなと思った。原作がそうなんだよと言われればそれまでなのだが、リルルがのび太と絡むにまでに結構時間がかかる。もうちょっと短くしてほしいなぁと思わなくもない。キャッチーな本作オリジナルキャラをということで、ヒヨコっぽい外見のキャラ・ピッポが加わっているのだが、このキャラとの絡みにペース配分をとられすぎた。他人を思う心という面では、リルルとピッポの絆を描くことは必要だったのだろうが、映画の尺の中での収まりは悪い。
 旧作が妙に記憶に残っているのは、多分、鉄人兵団を迎え撃つ時の絶望感が、子供心にもひしひしと伝わっちゃったからじゃないかなと思った。のび太ら5人で、無人の世界で大群の敵を迎え撃つというシチュエーションは本作も同じ。そして思った以上にディザスタームービーだった。無人世界とはいえ、ザンダクロスの試乗からしてばんばん破壊活動している。思わぬ結果にしずかちゃんが泣き出してしまうのも納得。
 プログラムピクチャーとしての安心感はあるし、作画オタにとっても色々楽しめる作品。挿入歌の「あなたはあなた わたしはわたし あなたはわたし わたしはあなた」という歌詞に作品のテーマが凝縮されている。これはいい演出だったと思う。そしてBUMP OF CHIKINによる主題歌「友達の唄」も合っています。