(2011年3月に試写会で見て書いた感想です)1976年7月28日、中国河北省唐山市で起きた大震災を題材に、生き別れになった家族の32年間を描く。中国現代史としての一面も垣間見えて面白い。監督はフォン・シャオガン。両親と幼い姉妹は、7月28日深夜、マグニチュード7.8の地震に襲われる。母親を制して子供を助けようとした父親は死亡し、子供たちが建物の下に生き埋めになっていた。しかし建物は今にも倒壊しそうで残り時間はなく、助けられるのは1人だけ。選択を迫られた母親はとっさに「息子を」と答えてしまう。その声は娘の耳にも届いていた。そして、母親は被災して片腕をなくした息子と生活していた。一方、奇跡的に生き延びた娘は養父母の元、成長していた。
 地震そのものの描写にさかれた時間は、実はそんなに長くないし、冒頭の唐山大地震の見せ方もそんなに上手くないと思った。なぜか登場人物の真正面、真横からのショットが目立ち、建物の倒壊などもいかにもCG。しかし、本作のキモは地震そのものよりも、むしろ震災にあってしまった一家、特に、母親と娘のその後の人生にある。母親が「娘と息子どちらにする?」と迫られるシーンの残酷さは際立っている。以降、助かったものの母親の心は休まることはなく、ずっと悔いながら生きる。一方娘の方は、義父母との仲は悪くはなく、経済的にも安定したいい暮らしをしている。しかし実母に捨てられたという思いがずっと尾を引いている。母親と一緒に暮らしている息子は、片腕をなくすというハンデはあり、過保護な母親に対する反抗が一時期あるものの、概ね真っ直ぐ順調に育っていくのとは対称的だ。親に捨てられた・子を捨てたという思いを2人が克服するのにかかった年数が実に32年。2つの地震をからめたストーリーなのでこの年数になっているのだが、その長さに説得力があった。やはり、なかなか許せない(母は自分を、娘は母を)ものだろうと思う。
 力作だが、正直、かなりの長尺だしストーリーも若干冗長。もう少しエピソードを削ってもよかった。中国ではものすごく泣ける映画と評判だったそうだが、むしろ感情的な盛り上げは控えめだったと思う。前半のバスのシーンのようにあからさまに泣かせにくるところもあるのだが、以降の、真に感動的なシーンでは意外と情感抑え目で好感をもった。
 脇役のキャラクター造形におもしろみがある。中でも印象深いのは娘の養父母、特に義母だ。ちょっとぶっきらぼうな女性で、義父と養女が仲がよいのに対して嫉妬するが、同時に養女のことがかわいくもある。幼い養女がはじめて口をきいた時の表情がよかった。愛情の示し方が義父と比べて不器用で、こういう人いるよなぁと思った。