第23回東京国際映画祭にて。障害のある妹を、幼い頃置き去りにしたことがトラウマになってりう少年(ルカ・マリネッリ)と、事故で片足に障害が残った少女(アルバ・ロルヴァケル)の、時に交差し時に平行する人生を描いた作品。原作はパオロ・ジョルダーノのベストセラー小説、監督はサヴェリオ・コスタンツォ。
 原作小説は未読なのだが、小説とは時系列が異なっている(小説は時代の流れに沿っているが、映画はスラッシュされている)そうだ。映像化する際には時系列を入れ替えたほうが効果的では(原作既読者にとっては目新しいし)、という監督の考えだそうだが、確かに子供時代から順番に描くよりは、映画の場合は効果的かなとは思った。ただ、組み立てがあまり上手くなく、単にとっちらかっているように見えてしまった。少年の人生における決定的な瞬間と、少女の人生における決定的な瞬間がリンクしている部分の緊張感が募っていく様はよかった・・・というか募りすぎでうぁ~っとなりました。特に少女の方。
 素数たち、とされているのは、少年も少女も家族の中でも学校でも浮いている、周囲に馴染まない存在だからだ。素数的な存在である彼/彼女は、それゆえに惹かれあう・・・かというとそこがはっきりとはしていないところが面白い。少女は少年を気に入り、(一方的に)パーティーに誘ったりキスを迫ったりするのだが、2人の仲は進展しない。お互いに好意は持っているが、大人になっても決定的な何かは起きない。起きそうになると、何かしらの事情により2人が遠ざかってしまう。お互いに傍にいて欲しい人、必要な人だという部分がもっと前面に出ていれば、よりストーリーの流れにダイナミズムが出たんじゃないかなという気がするが、引き合い方もなんとなくな感じでいまひとつ緩慢だった。
 少年、少女とも両親との関係があまり上手くいっていない様の描き方が割といい。少年はかなり直接的に、母親がこんなはずじゃなかった、生まなければ良かったと漏らすのを聞いてしまう。少女は、父親とは一見仲がいいのだが、両親の夫婦関係が危うくなっている。また、少女が遭う事故は、そもそも強引な父親のせいとも言える。子供時代のエピソードは分解され、ぽつりぽつりと出てくるのだが、なぜ彼らが現在のような大人になったのか、という根っこの部分が垣間見えるエピソードだったと思う。幼少時代から一直線に同じ道を来た感のある少年に対して、少女は元々元気のいい子だったのが怪我により引っ込み思案になり、また活発に、という波があるが。少女の同級生で女の子たちのボス的な子がすごくかわいかった。彼女は少年と少女を2度にわたって(自覚なしに)結びつける役割を果たす。
 色彩とか、音楽とか、字幕(舞台となる年代が表示される)のフォント・色とか、個々はわるくないのに全体的にはちぐはぐな印象を受けた。脚本もなのだが、少々とっちらかっている。