ピエール・フライ著、浅井晶子訳
第二次大戦直後のドイツ。アメリカ、ソ連、フランスに分割占領された街で、金髪のドイツ人美女のみを狙った連続猟奇殺人事件が起きる。ドイツ人警官ディートリヒは、非協力的な米軍にひるむことなく捜査を続ける。事件を追う警官とアメリカ軍のパートと、被害者女性たちの背景が交互に描かれる。お互いわずかに交差する女性たちの人生が、それぞれ生き生きと描かれている。皆ちょっと美人すぎ(美人を選んで殺しているという設定だから当然だけど)、セクシーすぎなきらいはあるが、魅力的に描かれており、だからこそ彼女らの死がくやしい。全員、人生で大切なものをようやくつかみかけたというところで殺されるので、いやらしいといえばいやらしいストーリー展開なんだが(笑)。ミステリとしてはちょっと単調なのだが、当時のドイツの人たちの生活や風俗などが詳しく描かれていて面白い。特に、ナチスが台頭していく中変化していく国民の気分、また物資の足りない様、それをどういった方法でやりくりしていたかというような部分はよく取材してあると思う。ただ、硬派な時代物ミステリというよりはパルプフィクション的なノリ。セックスが占める部分が結構あるというのも(笑)。表紙もいい意味でお安い感じ。