ゾンビ化するウイルスが全土に蔓延し、ゾンビ王国となってしまったアメリカ。引きこもりだったおかげでゾンビ化せずにすんだ大学生コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)は何とか生き延び、故郷の町を目指していた。旅の途中でゾンビハンターのタラハシー(ウディ・ハレルソン)、美人詐欺姉妹のウィチタ(エマ・ストーン)とリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)と出会い、ゾンビがいないという遊園地「パシフィックランド」を目指す。監督はルーベン・フライシャー。
 楽しかった!ゾンビ映画のセオリーに基づいているのかどうかはわからないが(私あまりゾンビ映画見たことないので)、映画愛に満ち溢れている。多分、過去のゾンビ映画を踏まえているのだろうし、後半あるハリウッドスターの邸宅に忍び込んでからの会話は、映画好きならニマニマしてしまうもの。映画愛に溢れた作品だ。リトルロックがある有名映画を知らなくてコロンバスがショックを受けるところなどもおかしい。TVで見るとかないのかな~。日本の子供は結構知っているような気がするが。
 最近妙に需要が伸びている童貞主人公映画としてもいい。外に出ないからゾンビ化せずにすんだという設定が無茶で笑ってしまった。寮でのエピソードを見るところ、強くはないが危機回避能力は意外に高そうなので、引きこもっていたから生き延びたというわけでもなさそうだけど(笑)。コロンバスは慎重に慎重を重ね、「32のルール」を遵守してゾンビから逃れる。あまり融通がきかず臆病な彼が、タラハシーやウィチタに触発され、徐々にルールを破り、あるいは新しいルールを加えて一歩踏み出していく。ちょっと自由になっていく感じがすごくよかった。「ちょっとしたことを楽しめ」というタラハシーのルールは聞きようによっては皮肉にもなるが、本作ではそれが素直に聞ける。
 ウディ・ハレルソン演じる、過剰にマッチョな男・タラハシーも、詐欺師姉妹も、共に(騙しあいつつ)旅をすることでほんのちょっと自由になっていく。また、4人の間に擬似家族のようなつながりが生まれていくところがほほえましかった。冷静に考えるとお先真っ暗のディストピアものなのに、妙に幸福感が残るのはそのせいかも。
 タイトルロールやルールの見せ方等、文字の使い方がユニークで楽しいのも好印象だった。特にタイトルロールはゾンビ・ゾンビで大変景気がいい。