TOHOシネマズ「午前10時の映画祭」で鑑賞。ピーター・イェーツ監督の1968年の作品。ロバート・L・バイクの小説原作。ラロ・シフリンの音楽が60年代ぽさをむんむんかもだしているハードボイルド。
 裁判の証言台に立つチンピラのジョニーの護衛役となった刑事ブリット(スティーブ・マックイーン)。しかしジョニーはかくまわれていたホテルで、ブリットの部下共々襲撃された。ブリットはジョニーの死を伏せ、犯人探しに奔走する。
 タイトルロールが妙に長いと思っていたら、エンドロールがびっくりするくらい短かった。冒頭でスタッフ全員紹介してしまっているみたいだ。このタイトルロールがかっこよくて、わくわく感をあおられた。すごく洗練されているというのではなく、クールを狙いすぎた野暮ったさや古臭さ(60年代の作品なので)はあるものの、そこがまたいい。
 で、本編はキメキメのタイトルロールに比べると大分泥臭かった。ブリットは新聞にもよく名前が出る(小説とかでもよく出てくるけど、アメリカの刑事って新聞に名前が載っちゃうんですね。今もそうなのかしら。変な逆恨みとかされないだろうかといらぬ心配をしてしまう)名刑事なのだが、捜査方法は決してスマートなものではない。無茶なゴリ押しもするし、ダーティな取引に目をつぶることもある。ヒーローというよりも職人的に黙々と仕事をこなす。ただ、彼の捜査は職務である以上に、自分自身の筋を通す、おとしまえをつける為のものに見える。真実の解明には必ずしもつながらない。彼がやったことは短期的には正義の執行かもしれないが、長期的には却って正義がなされるのを妨げるものでもあるのだ。ジョニーを召喚した政治家チャーマスの方が、狡猾ではあるが長期的に見れば正しい選択をしているとも言える。このようにブリットが何かを成し遂げた、とは言いにくい状況なので、ホロ苦さが残った。
 乾いた空気感が魅力だった。これはサンフランシスコという舞台のからっとした雰囲気も大きいのだろう。本作はカーチェイスが有名だが、サンフランシスコは坂が多く、正面からのショットでも後続車両がしっかり見えたりと、カーアクション向きの地形なのかもしれない。ただ、最近の映画の華麗なカーチェイスとはだいぶ趣が異なり、ごつごつした荒っぽいものだ。急カーブも曲がり切れているのかいないのか微妙な感じで横滑り具合がすごい。アクション技術も日々進化してきたんだなーと今更ながら感心した。
 ところで、ブリットの自宅はアパートメントの2階らしいのだが、なぜか階段を上がりきったところ(多分玄関口みたいなところ)に冷蔵庫がある。なぜそんなところに?