ブルボン小林著
ゲーム関係のエッセイで知られる著者の、初の漫画評論集。表紙と自画像はなんと藤子不二雄A先生ですよ!もう嫉妬のまなざし!表紙と表紙下のハットリ君もかわいすぎるわ!さて中身はさすがというか、非常におもしろい漫画評論。雑誌連載されていたごく短い、コラムのようなものが殆どで、気軽に読める(食いたらないといえばたらない)が、時々対象となる漫画の核の部分をすぱっと突いている。漫画は絵と文字で出来ているが、特にセリフと全体の構成への言及が多いところが、著者の出自を感じさせて興味深かった。絵に対する言及はかなり少なかったように思う。いわゆる「このマンガがすごい!」的な番付に載っているものはあまり出てこない。かといってマニアックというわけでもないスタンスが丁度良い(著者はいわゆるオタク文化圏の人ではない)。本著の最大の功績は、『打姫オバカミーコ』(片山まさゆき)を取り上げたところだろう(本気ですよ)。こういう作品をちゃんと紹介する漫画評論家やマンガランキングはなかなかないので貴重。あと、実在の人物を主人公にした、あるいは実在の人物が脇役として登場する漫画を著者は妙に好んでいるみたいだが、これは正直どこがおもしろいのかわからないなー(笑)。