マーゴ・ラナガン著、佐田千織訳
 河出書房の奇想コレクションとしては珍しく、短編集である原著をまるごと訳した1冊。1編目の「沈んでいく姉さんを送る歌」は、姉が夫殺しの罰としてタールの沼に沈められるのを「ぼく」と家族が見送るという残酷なのにどこか牧歌的な物語。この作品で世界幻想文学大賞を受賞したそうだ。その世界に対する説明なく、いきなり異世界での事象が語られる。ビジュアル力が強くイメージが強烈。わりと残酷なシチュエーションの話が多いのに、妙に陽気なのは著者の個性だろうか。書き様によってはもっとじめっとした雰囲気になりそうだが。また、主人公が子供であったり、何らかの形での成長を描いている話が目立つのは、著者がヤングアダルト分野で活躍してきたからだろうか。「ヨウリンイン」のような、苦い成長の形もあるが。