E・ブロンテ著、小野寺健訳
光文社古典新訳文庫版にて。10代の頃にかなり古い訳(版元はわからないが、世界文学全集の中に入っていた)のものを読んだことがある。当時は非常に読みにくく、加えてよくわからないなりに怖かったのだが、改めて読んでもやっぱり怖い。訳文が読みやすくなっているのはありがたいのだが、それぞれの人物の怨念まで伝わりやすくなっている。理屈や良識がまったく通用しない、説得がきかない存在がこんなに怖いとは・・・。ただ、人間を描くというよりも、人間の感情のある部分をむき出して投げつけられているような印象を受けた。恋愛小説ということにされているが、そうでもないのではないだろうか。実はものすごく観念的な小説だったということがわかった。また、昔読んだときは荒地の情景がもっと強く迫ってきた記憶があるのだが、今回はそういった部分は後退していたように思う。もっと、場所の魔力みたいなものがあった気がするのだが・・・。新訳だと風がごうごう呻っている感じがあまりしない。単に昔読んだ時の刷り込みが強かっただけか?