タハール・ベン・ジェルーン著、香川由利子訳
モロッコの青年アゼルは学歴はあるものの職に就けず、この国から出てヨーロッパ世界へ渡ることだけを夢見ていた。富豪の男ミゲルの愛人となり不自由のない生活を送るようになったアゼルは、姉ケンザを呼び寄せようとする。ミゲルが自分の国から出て行きたいのは、若者にとって将来の希望が持てる情勢とは言いがたいからだ、しかしミゲルについてスペインに渡ったでも、彼が将来に希望を持てるようになったわけではなく、むしろ新しい環境にあわせて自分を偽らなくてはならず、苦しくなっていく。そしてまた出て行きたくなるのだ。ミゲルの出て行きたい、ひいては別の自分になりたいという願望は留まるところがないが、それは必ずしも彼を幸せにはしない・・・というようなことよりも、受け攻めという用語が純文学の訳文で普通に使われていることに衝撃を受けましたね私は。一般人にも通じるのかそれ。