加賀乙彦著
作家であり精神科医である著者による、「日本人は幸せを感じにくいのではないか?」という論と、幸せになりやすくなる為の提案。おそらく間口の広い読みやすさを目指していることと、著者のご年齢からか、言わずもがなな部分、また少々古風な部分もあるのだが、思いつめてしまいやすいタイプの人は発想転換のきっかけとして読んでみるといいかも。幸・不幸の感じ方は実に千差万別だと思う。一つの価値観に無理矢理沿おうとするところが、不幸を招いているのかもしれない。また、一つの場しか持たない人はくじけやすいというのには納得。自分の中で色々なバリエーションがある方が、一つの場で何か起きても他の場に避難しやすい。子供はそれが出来にくいから辛いんでしょうね・・・と思っていたら大人も結構そうなのか・・・。ささやかでも、自分が好きなことに自覚的である方が人生豊かになるのは確かだろう。なお本作、あくまで精神的な部分を扱っているので、経済的な部分でにっちもさっちもいかない、という人の処方箋には残念ながらなっていない。