ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト著、富永和子訳
母親とアパートで2人暮らしの少年オスカルは、学校でいじめにあい、孤独な日々をおくっていた。ある日隣の部屋にエリという美しい少女が越してきた。オスカルはエリに惹かれるが、彼女と遊べるのは夜だけだった。一方町では、奇妙な殺人事件が相次いでいた。スウェーデンでベストセラーになったというヴァンパイア小説(映画化もされ、ハリウッドリメイクの話もあるとか)。私はホラー小説は殆ど読まないのだが、本作は確かに面白い!ヴァンパイア体質がウイルスによるものだというところは現代的だが、何より、オスカルをはじめとする、この世になじめない人たちの悲しみが根底にある。オスカルが、辛い現実から自分を救う為にやる一人遊びが痛々しすぎて、10代の頃だったら平静に読めなかったかもなぁ。オスカルだけでなく、町をさまよう酔っ払いにしろ、団地の不良少年にしろ、皆居場所がない辛さ、生き辛さを抱えているところがヴァンパイアの孤独と共鳴する。私はヴァンパイア小説は殆ど読まないのだが、ある種の哀れさを帯びているところも魅力なのか。構成にはやや難ありだが、冷え冷えとした雰囲気の作り方は上手い。