仮想現実ゲーム内の砂漠で、獲物を奪い合う3人の女ハンターと1人の男。巨大なモンスター“マダラスナクジラ”をしとめるため、手をくむことにするが。押井守監督、久々の実写映画となる。主演は黒木メイサ、佐伯日菜子、菊地凛子。
 今年の日本映画界は珍作迷作が大豊作だったが、今年もっとも「これはひどい」発言したくなったのが本作。既出の珍作迷作は、とりあえず何がしかのやる気は感じられた。しかし本作にはやる気がまったく感じられない。私の目が節穴なのかもしらんが、なぜ作られてしまったのか謎な作品だと思う。映画製作の上でやってはいけないことを全部やっているかのような、えらいことになっている。
 冒頭のやたらと長いモノローグ(しかもモノローグ内容そんなにわかってなくても本編見るうえで支障がない)でいきなり見る側のやる気をそぐ。そしてベテラン監督とは思えないカメラワークのゆるさ。なぜびしっときまっているショットがひとつもないんだ!CGは(多分に意図的なのだろうが)ショボく、絵的にも構成的にもメリハリにかけるので、さほど長い映画ではないのだが見ていて苦痛だった。章立てされているが、わざわざ章を分けるほど長い話ではない。
 監督の実写映画である『アヴァロン』と同じ世界観の作品なのだが、今となっては仮想現実での戦闘ゲームという素材は古臭い。世界観にしろデザイン面にしろ、一昔前のそれという印象が否めなかった。そもそも今回は物語がゲームの中だけにとどまっていて、現実の世界とのリンクは描かれないので、ゲーム世界である必要はないんだよなー。野営・自炊する男に、黒木メイサが(仮想現実だからお腹は空かないので)やる必要ないでしょって突っ込むところがちょっと面白かったくらいで。
 押井監督は、アニメーションつくればいい作品もあるのに、実写作るとほんとしょうがない・・・。なんでこうなるのか謎。予告編の時点でこれは地雷映画に違いないとふんでいたが、ここまで大規模な地雷だとは(笑)。製作費がそれほど高額ではなさそうなのがせめてもの救いか。出演してしまった女優3人は気の毒としかいいようがない。押井監督の女性の顔の好みがはっきりとわかる作品ではあったが。