奴隷を使役する横暴な大王(渋川清彦)が支配する世界。按摩のオグリ(中村達也)は大王にその腕をかわれるが、彼に仕えることを拒む。怒った大王はオグリを切り捨てるが、彼はあの世から蘇った。ただし体も心も動かない姿で。大王の元から逃げ出した女・テルテ(草刈麻有)は、オグリを人間として完全に蘇らせる為、彼を連れて「蘇生の湯」を目指す。しかし大王の追っ手がかかるのだった。豊田利晃監督、4年ぶりの新作。何はともあれ復帰できてよかった・・・。
 予告編を見た段階では、疑似古代日本が舞台で若干ファンタジーぽくてと、地雷臭(ほら今年はGOEMONにしろTAJOUMARUにしろカムイ外伝にしろ、疑似日本ものはスベりにスベってるから・・・)がぷんぷんしていて、戦々恐々としていた。で、実際に見てみたら危惧したほどではなかった。ただ、あくまで予想ほどスベってはいなかったという程度で、見ごたえがあったとはいえない。最初、妙にPVぽいなと思ったのだが、最後までPVぽかった。というよりも、最初からPVとして使われることを想定して作られたみたいだ。映画としてはえらく薄いのだ。
 中村達也が主演し、音楽も彼のユニットが手掛けている時点で、音楽が占める部分が大きいのだろうとは思っていたが、予想以上だった。普通、映画では映像>音楽だと思うのだが、本作では音楽>映像。相互補完ではなく、映像が音楽を補完しているといったほうがいい。豊田は本作の音楽を手掛けているTWIN TAILのライブにPJとして参加しているらしいのだが、本作全体がライブの為の映像素材という感じなのだ。トークイベントでの中村の話によると、映像は見ずにレコーディングしたそうなので(主演しているから雰囲気的なところはわかるのだろうが、どういう映像に出来上がってきているのかは確認してなかったみたい)、音楽が編集された映像と直結はしていない。音楽の方が自立性が高いのだ。こういう作品を映画としてどうかと言われると、正直困る・・・。悪くはないんですが。
 とはいえ、主演の中村、草刈は魅力的。豊田は男性が主演の場合、すごくその人に対する思い入れ強く撮る傾向があると思うのだが、本作でもその傾向は強い。いやー監督本当に中村さんが好きなんですね!としみじみしてしまった。確かにドラマーなだけあって、按摩するときのリズミカルな腕の動きとか、体の使い方に無理がない(慣れてる)感じがして見ていてうれしい(私ファンなんで)。撮りたくもなるだろう。しかし撮りすぎだ!そこもっと尺短く!と思う部分が何か所もあった。これまでの作品でもそうだったんだけど、俳優に思い入れありすぎて切るべきところを切れなくなっているんじゃないだろうか。