長田弘著
いくつかの旧著を再編したもので、旅とその国・土地に係る作家をとりあげた随筆が収録されている。ポーランドやドイツ、アメリカ、イギリスなど出てくる国は様々だが、背後に戦争や革命が見えるものが目立つ。特にスペインの市民戦争については、作家本人がかかわっていたり、この時代を扱った文学が多かったりするためか、取り上げられている分量が多い。その中で、若くして戦死した作家、また生き延びながらも自ら死を選んだ作家の姿が浮き上がる。彼らの多くは、愛国心の元に死んだというのとも、国家に反逆して死んだというのともちょっと違う。彼らが忠実であったのは、もっと、自分の根っこのところではないか(特にスペインの国民性について、国というよりもそれぞれの郷土に根ざしている、それが市民戦争を困難なものにしていたという部分が印象に残った)。nationとnativeの違いについて著者は考え、本来の意味のパトリオティズムについて考える。それはたぶん、死んだ作家たちも考え続けてきたことだろう。それにしても著者の読書にかかわる随筆を読むと、このくらい教養と知性があってはじめて「読書した」と言えるんじゃないかと、わが身を振り返ってがっくりくる。プロ相手に何言ってるんだという話だが、私程度の読解力だと小説読んでもあんまり意味ないんじゃと思っちゃうんだよねぇ・・・。