優秀な忍であったカムイ(松山ケンイチ)は、忍の世界にも疑問を持ち、今はかつての仲間に追われる抜け忍の身。ひょんなことから漁師の半兵衛(小林薫)一家の元に身を寄せることになった。しかし半兵衛の妻は、かつてカムイと戦ったこともある抜け忍のスルガ(小雪)だった。原作は白戸三平の同名漫画。監督は崔洋一、脚本は宮藤官九郎。
 『今日からヒットマン』の感想で、「今年の邦画の娯楽大作は迷作・珍作のオンパレード」と書いたが、本作も間違いなくその系譜に連なる。アクションシーンが始まるなり、「いやーそれはないわ・・・」という脱力感がみなぎる。本作は派手なワイヤーアクションやCGを駆使していることが売りになっているようだが、演じるほうもアクション監督する方も不慣れなのか、動きが妙にもったりとしていて、「飛んでいる」ではなく「空中浮遊」に見える。緊迫した場面なのにいきなりふわーとした動きになるので、出鼻を挫かれたような気持ちになってがっかりだ。個々の俳優は結構頑張っているだけに惜しい。不慣れ感に満ちていて、ハリウッドや香港のアクション映画とのレベルの差を痛感することになってしまった。むしろ、ワイヤーも使わず、泥臭くても生身のアクションのアクションの方が見たかった。その方が原作のイメージにも近かったのではないか。「忍者」イメージにひっぱられすぎたような気がする。忍術を実写にすると結構マヌケというのも、アクションシーンが冴えない一因なのかもしれないが・・・。砂から飛び出すとか分身の術とか、実際にやられるとちょっとなぁ。これをやるならこってこてのCG駆使したアクションにしないと。
 また、ストーリーの構成も微妙。カムイの抜け忍としての運命に周囲が巻き込まれるのだが、そもそもカムイ外伝てそういう話だったっけ?虐げられた者としてのカムイの立ち位置はあいまいになっている。何より、カムイ1人を始末するにはコストがかかりすぎではないですか伊賀の皆さん・・・。そんなに人材が余っているのかと気になってしまった。突っ込み入れ始めるときりがない。クドカンにとってはあまりモチベーションの上がらない仕事だったのだろうか。
 俳優が頑張っているだけに、かなり残念。松山ケンイチの身体能力の高さが見て取れる(走る姿がきれい)のでもったいない感がつのる。伊藤英明とサシで勝負するところとかも、結構かっこいいのにー。