「ワイズマンを見る/アメリカを観る」特集上映にて。1968年の作品。当時の、おそらくごく一般的な(多分、中の上くらいのレベル)高校における日常を追った作品。『チチカット・フォーリーズ』よりも編集が大分スムーズになっている。スムーズというよりも、観客に対するサービス精神が旺盛になっているというか、見やすい。あるシークエンスで「~がAで~」という言葉が出てくると、場面転換された次のシークエンスは「Aは~」という言葉から始まる、というように、観客の意識をすっとひっぱっていくつなぎ方が多く見られた様に思う。
 ワイズマンの意図が反映されているにしろ、当時の高校教育の一端を垣間見ることが出来る資料としても貴重だと思う。男子が参加する調理実習(多分、必修ではなくクラブ活動的な選択科目なのでは)や、女子の為のファッションショーみたいな授業があったり(ぽっちゃり体型の子が披露するファッションを「体型をカバーするドレスでステキ!」と評するあたりの建前感が非常に「学校」ぽい)、など、かなり意外な授業も。卒業パーティーにミニスカートのドレス着用ではTPOに反するという指導がわざわざされていたり、進路指導がかなり丁寧で、両親の経済力まで含めて進学先プランを練っていたりするところは面白い。この当時からモンスターペアレンツぽい保護者がいたんだなぁとか。また、時代背景も色濃く反映されていて、擬似宇宙船生活みたいなプロジェクトをやっていたり、ベトナムから帰還した卒業生が教師を訪ねてきたりと(もちろん帰還できなかった卒業生もいるわけだ)興味深かった。
 当時の高校生活を見るうち、高校教育そのものというより、その高校教育の背景にある思想、どういう生活が模範的とされていたかというものが見えてくる。特に興味深かったのが、性教育から見えてくる当時の「かくあるべき」男女観。結婚して子供を作ることが大前提、婚前交渉はもってのほかというのがありありと見られる。「女性は大体1回のセックスで妊娠します」と教えていて吹いた。どんな情報操作だそれは・・・。性を抑制する為の性教育(称揚されても困るが)なのだ。男性教師(多分医者が出向しているのでは)が男子生徒の前で下ネタばんばん披露し、どっかんどっかんウケているあたりには時代を超えた何かを感じたが。
 とりあげられている高校は、わりとリベラル(黒人、ヒスパニック系の生徒も特別枠的な扱いなのだろうが入学を許可している)寄りではあるのだろうが、ライフスタイルに対してはまだまだ「古き良きアメリカ」という感じの教育がされている。ここからの道のりは遥か遠い。